金沢工業大学 松井くにお教授による特別講義・演習を行いました!
10月11日、金沢工業大学の松井くにお教授にお越しいただき、IT・Web学科とAIプロジェクト学科の2年生対象に特別講義をしていただきました。
テーマは「ユーザと一緒になったモノづくり(インクルーシブデザイン)を考えよう」です。
松井教授は点字ブロックにIT・AIの技術を活用し、コード化点字ブロックによるスマートフォン向け音声情報案内アプリを開発しています。この事例を元に「インクルーシブデザイン」について考えることができる講義・演習をしてくださいました。
点字ブロックに関する問題点とは何だと思いますか?
松井教授は2つの問題を挙げます。
1つは情報が少ないこと。視覚障がい者の方に伝わる情報は「進む」か「止まる」の2種類しかありません。
もう1つは、目の見える人には見えないこと。目の見える人にとっては必要のないものだからこそ、点字ブロックを塞いでしまう人が後を絶ちません。日本に住んでいて点字ブロックの存在に気づいていなかったという留学生もいました。
そこで、松井教授の研究室では点字ブロックのそれぞれの突起に2進数でコードをつけ、突起の周りのマーキングと方向を表す直角三角形のマーキングを施すことで点字ブロックに番号がつけられるようにしました。
2進数とマーキングの組み合わせは、なんと1億3千万通り。この数のブロックそれぞれに違った情報を持たせることができるのだといいます。
点字ブロックがもっと多くの情報を持つことができれば…視覚障がい者の方に「右に行けば女性用トイレ、左に行けば男性用トイレ」など必要な情報が届けられます。そして、目が見える人にとっても道案内や施設案内など意味のあるものになれば、大切に扱ってもらうことができますね。
サーバに情報を登録すれば、スマホアプリを使って、誰もが情報を見ることができる仕組みです。そしてAI音声の技術で、音声で案内を聞くことができるのだそうです。
実際にどんな情報が必要になるかを考えて、情報を登録する演習を行いました。
学生はチームになって、各地点に置かれた点字ブロックにどんな情報が必要かを考えて登録をします。
「ここは、階段です」かな?
「ここは、体育館前です」の方がいいんじゃない?
「右手に非常口があります」もいいよね
チームで話し合いながら、決めていきます。
松井教授にアドバイスをもらいました。
アプリで情報を読み込んでみます。
登録した情報が出てきました!
今日の特別講義・演習を受けた学生からは、
「ユーザが必要なものを考えることが大切だとわかった」
「障がいがあるとか、ないとかを気にせずに使えるインクルーシブデザインについて考えることができる貴重な機会だった」
「ユーザと一緒に考えることで、全ての人に優しいデザインができると感じた」
「実際に音声案内を作成してみると、ユーザーのニーズに応えるために細部まで注意を払う必要があり、非常に奥深い作業だと感じた」
「実際に歩いてみることで、視覚障がい者の視点を理解し、使いやすさの配慮が大切だと学んだ」
「「実際に歩いてみて」では、理論を実体験に落とし込むことができ、自分の感覚で環境の課題を感じることができた」
「既存の点字ブロックに手を加えることで、新しいシステムを作り出している点が非常に素晴らしいと感じた。いつかこのような素晴らしいシステムを、私も作りたい」
というような感想が聞かれ、将来ソフトウェア開発に携わる者として、大事な考え方を学ぶことができたようです。
松井教授のコード化点字ブロックによるスマートフォン向け音声情報案内アプリ 「Walk&Mobile」はこちらからダウンロードすることができます。
金沢の観光施設等で実用化されている他、東京でも杉並区、足立区、世田谷区等で使われてきているそうですので、街中で見かけたら実際にアプリを使ってみてください!
貴重な講義をしていただきました松井教授、ありがとうございました。