「生成AIと芸術」のAI特別講義を行いました!
12月3日、芸術学の博士で大学兼任講師でいらっしゃる、河原 啓子 先生をお迎えし、AI特別講義を行いました。
講義のテーマは「生成AIと芸術」です。
芸術という創造性が重要になる分野で、その創造性、クリエイティビティにAIが入り込んでいるという現状を受けて、河原先生は芸術の専門家として「AIを勉強しなければ」と思ったそうです。
現在、急激に進化を遂げる生成AIが芸術の分野でどのように使われているのか、その実例を紹介していただきました。
まずはAIの研究がノーベル賞を受賞したという最近の話題から。つづいて、絵画、音楽、マンガ、作画、作品を生成するAIに関して、実際の絵を見たり音を聴いたり、ケーススタディとして体験しました。
例えば、17世紀の画家、レンブラントの絵画をAIに学習させて新作を作成した例や、手塚治虫の『ブラックジャック』の新作をAIに作らせたり。どんな課程を経て実現しているのか、どれだけ精巧かを、見て学びました。
バッハの音楽をAIに学習させて新曲を作成した例では、本物のバッハのフーガとAIが作曲・演奏したフーガを聴き比べて、どちらが本物か当ててみました。
AIが芸術分野の参入すると、今まで自分では芸術に関われなかった初心者にも門戸が開かれ、プロンプトを入力するだけで高技術の絵や音楽が創作できるという利点があります。
一方で、それが人間のクリエイティビティを奪ったり、著作者の法的権利を侵害したり、芸術家に対する冒涜だという大きな批判もあるといいます。
そんな中で、自分の作品をAIで生み出す権利までを含めて販売するアーティストもいるなど、芸術とAIの関係を問うような動きも生まれているということ。
そして、今まで見てきた例でも、実は人間のクリエイティビティがなくてはここまで高品質な作品が生まれなかったことを河原先生は強調しています。
AIに学習させるにも、AIを使いこなすにも、ビジネスに活かすにも、人間のクリエイティビティが必要だと締めくくりました。学生にとって卒業制作のヒントにもなり、社会に出るときの心構えにもなると思います。
講義を聞いた学生から、こんな感想の声があがりました。
- この講座を通じ、AIの仕組みや具体的な活用事例を学びました。生成AIは創作支援・効率向上には優れますが、人間らしい独自性とのバランスが課題と感じました。
- 本日の講義を受講して、生成AIは創造性を広げる可能性持つ一方で、人間の感性や個性を補完するツールとしても非常に有用であることを学びました。
- 作品を生成するAIの絵画に興味を持ちました。理由は、作者の権利を無視した利用などネガティブなイメージを持っていましたが、失われてしまった絵の復元など、ポジティブな利用を知るきっかけとなったからです。
- 生成AIは非常に有望な技術であり、特に創造的分野での可能性を広げている一方で、倫理的問題や過信によるリスクを考慮しながら、適切に活用することが求められているのだとわかりました。
河原先生は中央情報学園AIデジタル研究所発行の『AIデジタル研究 第8号』にも論文を寄稿してくださっています。
『 生成 A I 時代に人間が“考えだすこと”とは?― 芸術創造の見地から ― 』
こちらの表紙画像から、論文をお読みいただけます。
河原 啓子 先生、貴重な講義をありがとうございました!